dermatology一般皮膚科

皮膚に関わる、全般的な症状や疾患の診療を行います。


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皮膚に関わる、全般的な症状や疾患の診療を行います。

小さなお子様からご高齢の方まで。
さまざまな皮膚の疾患に対応し、患者様一人ひとりに合った最適な治療法を提案します。

湿疹


湿疹は、皮膚科を受診される患者様に、とても多く見られる症状です。ブツブツや小さな水ぶくれ、赤みなどが混ざって現れ、痒いのが特徴です。
薬剤・化学物質・花粉・ハウスダスト・細菌などの「外的因子」と健康状態・皮膚の状態・アレルギーの有無などの「内的因子」が複雑に絡み合って生じると考えられます。

湿疹ついて一般に言えるのは、皮膚の「バリア機能」が外部からの何らかの刺激に負け、その結果として炎症を引き起こしている状態だということです。

湿疹は痒みを伴うことが多いため、ついつい掻いてしまいがちです。しかし、掻いて治ることは無く、むしろ掻くことによって患部を掻き壊してしまい、化膿や悪化を招き、患部が拡大してさらに痒くなる、という悪循環に陥ることが少なくありません。まずは痒みや炎症を抑える薬を上手に使って、こうした悪循環を断ち切る必要があります。
また、湿疹は、慢性化すると治りにくくなりますので、症状がしばらく続くようなら、早めに皮膚科を受診しましょう。

接触皮膚炎(かぶれ)


皮膚に直接触れたものが原因となって起こる炎症や湿疹を、接触皮膚炎(かぶれ)と言います。

原因となる外的刺激が特定されている場合に、こう呼ばれます。
原因が明らかな場合は通常、「うるしかぶれ」「おむつかぶれ」など、原因物質の名前を頭につけて称されます。

植物や金属のほか、化粧品・洗剤・化学薬品など、職場や家庭環境におけるほとんどすべてのものが原因になり得るので、「使い慣れたものだから大丈夫」と考えていると原因を見落としてしまうことがあります。

原因が明確でない場合は、必要に応じて「パッチテスト」を行います。
パッチテストとは、原因と思われる物質を皮膚に貼りつけて反応を見る検査です。原因物質がわかったら、まずは、その物質が含まれるものに接しないように注意します。

短期的にステロイド外用薬を使用し、痒みが強い場合は、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬を用いて治療します。

じんましん


「蚊に刺されたような」痒みの強い、わずかに盛り上がったみみず腫れが数分~24時間以内にできては消えていく皮膚疾患をじんましんと言います。

多くは痒みを伴いますが、チクチクとした痛みや、熱く焼けつくような痛みを生じることもあります。出没を繰り返すのが特徴で4週間以内に治るものを急性じんましん、それ以上の期間にわたって断続的に発症するものを慢性じんましんと呼びます。

じんましんは食べ物や内服薬、細菌やウイルスの感染、ストレス・体調など様々な要因が複雑に関与して発症します。
検査としては血液検査や皮内反応などを行うこともありますが、原因が特定できないことが少なくありません。

じんましんの治療には、抗アレルギー剤や抗ヒスタミン剤などを使います。薬を内服すれば、多くの人は数日~数週間で症状が治まりますが、特に慢性じんましんでは再発を避けるために医師の指示に従って飲み続け、徐々に減らしていくことが大切です。

乾燥肌(乾皮症)


皮脂および汗の分泌が減少して、皮膚が異常に乾燥している状態を乾燥肌(乾皮症)と言います。

症状としては痒みが強く、特に老人の下腿・大腿・背中に顕著に認められます。湿度が低下する冬季に、多く見られるようになります。

原因としては、皮脂の欠乏によって皮膚のバリア機能に障害が起こり、皮膚表面からの水分の喪失が多くなるため、皮膚が過敏になって、痒みが生じます。
住環境や入浴時間・湿度、石けん類の使用などのライフスタイルも関係してきます。

乾燥肌の治療としては、皮膚の乾燥が基本にあるため、まずは皮膚のバリア機能を回復させるためのスキンケアが重要です。
入浴後は、皮膚がまだ乾かないうちに、保湿剤を万遍無く、十分に塗ると良いでしょう。皮膚炎を起こしている部分には、ステロイドの塗り薬を併用すると、より効果的です。
痒みのせいで寝つけないような場合は、痒み止めとして抗ヒスタミン薬を内服したりします。

にきび(尋常性ざ瘡)


にきびは身近な皮膚疾患ですが、顔にできやすいため、気になる人も多いものです。
にきびの直接的な原因は、皮脂の過剰な分泌と毛穴の詰まりです。過剰に分泌された皮脂が毛穴に溜まり、この毛穴に溜まった皮脂を栄養源にして、にきびの元となるにきび菌は増殖していき、症状を悪化させます。

にきびは、ホルモンバランスの乱れ、睡眠不足、紫外線、ストレスや生活環境など、様々な要因が複雑に絡み合って生じることが多く、治りにくいのが特徴です。

治療にあたっては、にきびの種類と重症度を判断し、外用薬(アダパレン、過酸化ベンゾイル、抗生物質、イオウ製剤等)、内服薬(抗生物質、漢方薬等)などを組み合わせて治療します。

にきびはよく“青春のシンボル”と称されますが、医学的には「尋常性ざ瘡」というれっきとした皮膚疾患です。にきびができると気分的にもすぐれず、日常生活に悪影響が及んできます。また、にきびのケアが不十分だと「にきび痕」が残ってしまうこともあります。
にきび症状が現れたら、皮膚科でご相談なさるよう、お勧めいたします。

水虫(白癬)


水虫は、白癬菌(はくせんきん)というカビ(真菌)の一種が足などの皮膚に入り込んで発症する疾患です。白癬菌の増えやすい夏季に症状の悪化がよく見られ、足白癬は趾間型、小水疱型、角質増殖型、爪白癬の4つに分類されます。趾間型は、足指の間の皮膚がふやけたように白く濁り、痒くなるのが特徴です。

水虫のなかで一番多く見受けられます。冬は一見症状が治まることもありますが、夏になると再発し、2次的に細菌感染を併発しやすいタイプです。

小水疱型は、土踏まずや足の縁などに小さな水ぶくれが多発します。これも夏季に悪化しがちで、強い痒みを伴います。
水ぶくれが破けると、皮が剥けます。

角質増殖型では、足の裏から縁にかけての広い範囲で皮膚が厚くなり、冬のほうが、乾燥でひび割れ等を起こしやすくなります。痒みを伴わないので「皮膚が厚くなっただけ」と勘違いし、水虫だと気づかないケースも少なくありません。

爪白癬は、爪にできる水虫のことです。痒みは伴いませんが、爪が黄白色に変色したり厚くなったりします。
病態に応じて、それぞれ塗り薬や内服薬で治療しますが、まずは診断が重要です。
見た目と症状から自己判断で水虫と考えてしまう方も多いですが、本当は湿疹皮膚炎だったり、水虫と湿疹皮膚炎を合併していたりすることも多いです。このような場合に市販の水虫薬を使用するとかえって悪化してしまったり、先に外用薬を使用してしまうことで診断が難しくなってしまう場合もあります。

水虫を心配された場合は、自己判断で外用剤を使用せず、まずは皮膚科を受診して下さい。

たこ・魚の目(胼胝・鶏眼)


たこや魚の目は、足の特定の場所に継続的に圧力がかかって発症します。

たこは皮膚の表面の角質が部分的に肥厚したもので、痛みはありません。魚の目は肥厚した部分にさらに圧がかかって硬くなり、芯をもっているため、歩く度に刺激され、痛みが走ります。

治療は、スピール膏を1週間程度貼付して軟らかくした後に削るのが一般的ですが、慢性的な外的刺激がくりかえされると削っても1~2か月程度で元通りになってしまいます。根本的には靴との相性や重心・歩き方を見直さなければなりません。

なお、足の裏によくできるイボの一種に足底疣贅(そくていゆうぜい)があり、これを魚の目と勘違いすることがあります。
しかし、足底疣贅はウイルス性のイボであり、知らずに削って、かえって患部を広げてしまうことがありますので、こうした鑑別をきちんとつけるためにも、皮膚科への受診をお勧めいたします。

イボ(疣贅)


ウイルス性イボは、ヒトパピローマウイルスの感染によって発症するできもので(感染経路はよくわかっていません)、いじるとどんどん増える傾向があります。人から人にも、うつります。

イボができたからと言って、自分で引っ掻いて治そうとすると、かえってウイルスを撒き散らしてしまう可能性がありますので、いぼを見つけた際は、数が少ないうちに皮膚科で相談しましょう。また、稀ながら悪性のものもあるので、それらとの見分けをつけるためにも、専門医への受診をお勧めいたします。

イボの治療法には、液体窒素療法、外用治療、内服療法などがありますが、主に液体窒素療法になります。
液体窒素療法は液体窒素でイボを凍らせて組織を壊死させて取り除く方法で、古くから行われています。
-196℃の液体窒素を綿棒の先でイボに押し当てることによって、イボを除去します。
凍傷を人為的に起こして壊死させる方法なので、人によっては強い痛みを感じたり、処置後は、皮膚がやけどを起こした状態になるので水ぶくれができることもあります。

また、液体窒素で壊死させるのは皮膚の表面なので、イボの根に到達するまでには、何度も治療を繰り返す必要が生じます。そのため、治療期間は多くは3ヶ月~1年くらいかかります。

また、ウイルス性イボだけでなく、老人性イボ(顔や頭皮にできるザラザラしたシミ)やアクロコルドン(首やわきの下にできる突起物)なども同様に液体窒素で治療が可能です。

虫さされ(虫刺症)


虫さされでは、虫に刺された直後から翌日以降に、その部分が赤く腫れたり、水ぶくれになったり、しこりになったりします。特に小さいお子さんは、腫れやすいものです。

皮膚科の治療では、ステロイド軟膏を短期間外用します。腫れや痒みが強い場合は、抗ヒスタミン薬を服用します。
痒いからといって患部を掻き壊すと、とびひになったり、治りにくい痒疹(痒みのある硬くなった皮膚)になることがありますので、きれいに治すためにも、皮膚科への受診をお勧めします。

口唇ヘルペス


口唇ヘルペスの典型的な症状は、唇のまわりに赤い水ぶくれができて痒みや痛みが伴う、疲れやストレスで体が弱っている時によく繰り返し発症する、などです。

この疾患の病原体は「単純ヘルペスウイルス1型」です。ヘルペスウイルスは、一度感染すると、神経細胞の中に隠れ潜んでしまいます(潜伏感染)。潜伏したヘルペスウイルスは、現在のところ退治することはできません。そして、体の抵抗力が衰えている時などに、急に暴れ始めるのです。

口唇ヘルペスの治療としては、主に抗ヘルペスウイルス薬を用います。飲み薬と塗り薬があり、場所や症状の程度などによってそれぞれ使い分けます。
発疹の出る前にチクチクするなどの予兆が出ることも多く、その時点で治療を始めると、治りが早くなります。

帯状疱疹


水痘・帯状疱疹ウイルスの感染によって発症するため、水痘を経験した人(予防接種を含む)にのみ、起こります。
頭部から下肢までの間の片側の一定の神経支配領域に、神経痛様の痛みを伴った小水疱が帯状に生じます。顔にできると顔面神経麻痺、内耳の障害によるめまい・耳鳴りなどが起こることがあります。

痛みを伴うことが多いですが大抵は治療により1~3ヶ月で良くなります。高齢の方など人によっては帯状疱疹後神経痛として長い間痛みが残ってしまうことがあり、この痛みは治りにくく大きな問題となります。

帯状疱疹は、早く皮膚科を受診して早期に治療することが何よりも大切で、これにより帯状疱疹後神経痛の発症頻度を少なくすることが可能です。

凍瘡(しもやけ)


凍瘡とは、いわゆる「しもやけ」のことで、冷たい外気に曝された後、血行の悪くなりやすい場所、すなわち手足の指先、耳たぶ、ほお、鼻などに生じます。

皮膚が赤く腫れ上がり、ひどい時には水ぶくれを起こすこともあります。痒みを伴い、入浴などにより痒みが強くなるのも特徴です。子どもに多い疾患ですが、女性では大人になっても繰り返す人が見受けられます。
原因は、冷たい空気に曝されることですが、同じように寒気に当たっても、しもやけを起こしやすい人と起こしにくい人がいます。

しもやけの治療には、ビタミンEやヘパリン類似物質の塗り薬が使われます。
症状が強い場合や、広範囲にわたる場合、冬になる度にしもやけを繰り返す場合などには、ビタミンEや漢方薬の飲み薬も有効です。

しかし、しもやけでは、なんと言っても予防が大切です。
しもやけになりやすい人は、冬に外出する際には、手袋、マスク、耳当て、帽子などの防寒具でしっかりと冷気を回避するようにしましょう。
しもやけを繰り返したり、しもやけの症状が強いような方は、一度皮膚科を受診してください。

乾癬


銀白色の鱗屑(りんせつ:皮膚の粉)を伴い、境界の明瞭な盛り上がった紅斑が全身に出ます。乾癬の患者さんの大多数が、この症状です(尋常性乾癬)。

大きさ、数、形は様々で、発疹が癒合して大きな病変を形成することもあります。できやすい部位は、慢性的かつ機械的な刺激を受けやすい頭部、肘・膝、臀部、下腿などです。

青壮年期に発症することが多く、多発しますが、通常、内臓を侵すことはありません。痒みは、半数くらいの患者さんに見られます。爪の変形や関節炎を伴うこともあります(関節症性乾癬)。稀ながら、発疹が全身に及ぶこともあります(乾癬性紅皮症)。

乾癬は慢性疾患であり良くなったり悪くなったりを繰り返します。
患者さんの病気の程度や置かれた状況などに応じて、外用薬を中心に、紫外線治療、内服治療などを組み合わせて治療していきます。
重症の患者さんには注射薬を使う場合もありますので、必要に応じて専門の医療機関を紹介することもあります。

円形脱毛症


自覚症状などが何も無く、ある日突然、頭にコイン大の丸い脱毛斑が生じる疾患です。脱毛斑は一ヶ所とは限らず、多発することもあります。
時には頭全体の毛が抜けたり、全身の毛が抜けることもあります。

原因は成長期にある毛包(毛根を包む組織)がリンパ球の攻撃を受けて壊されてしまうためで、毛包を標的にした自己免疫疾患と考えられています。
したがって、リンパ球の攻撃が抑えられれば、元通りの毛が生えてきます。かつては、精神的ストレスが主な原因と考えられていましたが、多くはストレスとは関係無く発症します。円形脱毛症の頻度は、人口の1~2%と推測され、男女差は見られません。

脱毛斑が小さく少ない場合は、自然に治ることも多いです。しかし、広く抜けているケースほど脱毛は長引き、数年以上にわたって続くこともあります。
ただし、たとえ何年も脱毛が続いても、毛包の大元の細胞(幹細胞)は残っていますので、治療がうまく効を奏すれば、毛髪は戻ってきますし、時には自然の経過で生えてくることもあります。
つまり、リンパ球の炎症が抑えられさえすれば、成長期の毛包は回復するのです。

治療法は、病気が始まってからの期間と脱毛面積などに応じて決められます。ステロイドなどの外用療法を主に、グリチルリチンなどの内服療法、ステロイドの局所注射、脱毛部をドライアイスで冷却する方法、紫外線療法、ステロイドの内服療法、局所免疫療法などが知られています。

当院では外用療法、内服療法、紫外線治療を組み合わせて行っております。

ほくろ(母斑)


ほくろは、正式には色素性母斑と言い、皮膚の一部にメラノサイトという色素細胞が集まったものです。

ほくろは皮膚悪性腫瘍、特に悪性黒色腫との鑑別が大切です。悪性黒色腫は進行するとリンパ節やその他臓器に転移しやすく、進行の速いことが多いため、怖れられています。

短期間で急に大きくなったり、色が濃くなったり、色素が周りの皮膚に染み出してきたり、盛り上がってきた場合は、注意が必要です。
気になるほくろを見つけたら、早めに皮膚科を受診しましょう。

診察の結果、悪性の疑いがあれば、手術が必要です。当院では「ダーモスコープ」という特殊な器械を使用してほくろの良性・悪性の診断を行っています。

水疱症(水疱性類天疱瘡、尋常性天疱瘡など)


やけどや虫さされ、感染症などのはっきりとした原因が無いのに、皮膚に水疱(水ぶくれ)を形成する疾患です。

水疱症では、皮膚の表皮細胞や基底膜(表皮と真皮の間にある、薄い網状の膜)などに対する自己抗体(自分の組織に反応する抗体)が皮膚を傷害し、皮膚に水ぶくれをつくります。
全身のあちこちに、時に痒みを伴う紅い斑点(紅斑)、大小様々な水ぶくれ、びらんなどが見られます。
びらんは、時に口の中にも生じます。血液検査である程度は診断できる場合もありますが、正確な診断のためには局所麻酔をして、患部の一部を切り取る皮膚生検を行う必要があります。

治療については、水疱症の種類によりますが、ステロイドの外用や内服治療が中心になります。
治りにくいケースでは、ステロイドパルス療法、免疫抑制剤の内服、血漿交換療法などが必要になる場合もあります。

近年、水疱症の原因は少しずつ明らかになり、治療法も進歩しています。
きちんと検査をして確実な診断をつけ、しっかりと治療することが大切です。

爪疾患


爪の病気は、爪自体の病気と、全身の病気の症状の一つとして爪の変形等の異常が見られるものの2つに分けられます。

爪自体の病気としては、爪白癬、爪カンジダ症、巻き爪・陥入爪、爪周囲炎、爪に発生する悪性黒色腫などが代表的です。各疾患に見合った、爪そのものの治療がそれぞれ行われます。

全身の病気の症状の一つとして爪の異常が見られるものとしては、心疾患や肺疾患による時計皿爪、鉄欠乏性貧血で見られるスプーン爪、感染症、糖尿病、外傷などが原因で生じる爪甲横溝などが主なものです。
こうした場合は、爪自体の治療は必要無く、原因になっている内科的な疾患の治療を行います。

いずれにしても、爪トラブルを我慢していると、さらに症状が進行し、治療が難しくなるケースがあります。また、爪の変色や変形が、重篤な疾患からきているケースもありますので、早めに皮膚科で相談しましょう。

やけど(熱傷)


やけど(熱傷)は、日常生活において最もよく見られる外傷の一つです。

やかんやポットの湯、コーヒーやお茶、てんぷら油、またカップ麺の湯などによる高温の液体によるやけどが多く、ストーブやアイロンなどへの接触によるものが、これに続きます。
やけどをしたら、水道水などで、すぐに冷やすことが肝心です。これにより、熱による組織損傷が深くなることを防ぐだけでなく、受傷した部位の炎症を抑え、痛みをやわらげることができます。

やけどの治療は、やけどの程度に応じて外用療法、湿潤療法など使い分けて治療します。
かぶれや細菌感染を起こすことがありますので、やけど部分には薬などを塗らずに、すぐに受診してください。ティッシュなどを貼ると、患部にくっついて処置が難しくなる場合がありますので、貼らないようにしてください。

やけどが広範囲にわたる場合は、やけどをした部分の炎症によって血管内の水分が移動して減少し、循環障害から血圧低下を来たす場合があり、全身管理が必要になります。
こうした場合は、入院施設のある医療機関への受診が必要です。やけどの部位や深さにより異なってきますが、大人では中等度熱傷と呼ばれる「2度」のやけど(表皮の下の真皮に達するやけど)が体表面積の15%を超えると、入院加療の適応になります。

皮膚潰瘍・褥瘡(床ずれ)


褥瘡は一般に床ずれと呼ばれ、主に圧迫により接触部分に生じる皮膚潰瘍のことです。
低栄養や、乾皮症などの皮膚疾患も要因になります。寝たきりや知覚障害のある高齢者にできやすい傾向があります。圧迫を受けやすい部位によくでき、やせて骨がでてくると、圧迫やずれを受けやすくなるので、できやすくなります。
そのため、臀部や踵によくできます。

これに細菌感染がからむと、治りにくくなってきます。皮下脂肪や骨まで達する重症の褥瘡はいったん発症すると、治癒しづらくなるので、早期の治療が大切です。

褥瘡の治療

一見は褥瘡のように見えて、実はそうでない疾患も少なくなく、また褥瘡の時期に応じた適切な治療を行う必要があるので、きちんと診察を受けることが大切です。

また、感染症を合併すると、生命にかかわってくるケースもありますので、壊死(組織が局所的に腐ってしまうこと)した皮膚を取り除く必要があります。その後は、病態に応じた適切な外用治療が必要です。
そして、褥瘡治療で大切なことは、予防を並行して行っていくことです。そうしなければ、また同じところに褥瘡ができてしまうからです。予防としては、患部への圧迫を極力避けたり、適切なスキンケアを施したりします。

外傷(擦り傷・切り傷)


日常生活においても、傷を負うことはよくあります。
外傷と一言で言っても、その内容は擦り傷・切り傷から、腱や骨まで達しているものまで様々です。

外傷を扱う診療科も、皮膚科だけでなく、整形外科や一般外科など、多岐にわたりますが、当院では皮膚の浅い部分の外傷の治療を行っております。
何科を受診するか迷った場合は、とりあえず医療機関に連絡して状況を伝え、対応してもらえるかどうかを確認しましょう。

傷の応急処置

傷(外傷)を負ったら、まず圧迫止血を行ってください。清潔なガーゼや布で押さえます。ティッシュを用いると、傷口にティッシュが付着するので避けましょう。花弁状に剝けてずれてしまった皮膚も早期であれば元も戻ることもありますので、受傷後は早めの受診をお勧めいたします。

皮膚腫瘍


皮膚に生じたできもののことを皮膚腫瘍と言います。腫瘍とは組織の一部が病的に変化し、増殖したものです。
腫瘍は、大きくは良性と悪性に分けられ、良性腫瘍は一般に増殖が緩やかで生命をおびやかすようなことはありません。

一方の悪性腫瘍(がん)は近くの組織に進入したり、遠隔転移して増え続けていき、生命にも影響してきます。一見、ほくろやしみなどと紛らわしい皮膚がん(悪性黒色腫など)もありますので、皮膚に気になる異変が生じましたら、早めに皮膚科専門医にご相談ください。

必要があれば適切な医療機関をご紹介いたしますのでご相談ください。

粉瘤


粉瘤(ふんりゅう)はアテロームとも言い、皮膚の皮が毛穴の奥で袋を作ってしまい、中に老廃物や皮脂が溜まった半球状の腫瘍で、中央部には黒点状の開口部があります。強く圧迫すると、開口部から臭くてドロドロした内容物が排泄されるケースがあります。

耳のまわり、耳たぶ、鼠径部(そけいぶ)、背中などによくできますが、毛穴がある場所なら、どこに生じてもおかしくありません。
いつの間にかできて、自然に小さくなることもありますが、少しずつ大きくなって目立ってくるケースもあります。また、ある時、突然赤くなって腫れ、痛みが出て粉瘤のまわりに急に化膿や炎症を起こすケースもあります。炎症を起こして、はじめて粉瘤に気づいたりもします。

粉瘤の治療法

化膿を伴っている場合は、まず化膿の治療を行います。
抗生剤の内服を行い、膿が溜まっている時は、局所麻酔をして切開の上、膿を出します。
内服薬で症状が治まってくれば、そのまま小さくなるまで様子を見ます。切開排膿後は、中から膿が出なくなるまで、局所の洗浄を続けます。
化膿していない時、または化膿が治まったら、局所麻酔下に粉瘤を袋ごと取り出す手術を行います。